「ブロックプリントの神様 Sant Namdev」
みなさん、ブロックプリントの神様がいるのを知っていますか?
インドのヒンズー教では、それはそれは沢山の神様がいることは有名な話ですが、ブロックプリントの守護神が存在するのを知っている人はそう多くはないのではないかと思います。
今回、バグルー村でサンプル作りにとある工房に訪れた際に、その神様が飾ってあった写真です。
ジャイプール周辺の職人さんの間ではハヌマンジーという猿の姿をした神様が割と人気で、工房の片隅に飾られいるのを目にした事はなんどもあるのですが、ブロックプリントの工房で初めてその姿をみることができましまた。
私自身、その存在のことは、随分と昔にジャイプールのアノーキミュージアムを訪れた際に、ミュージアムショップにポストカードとして販売されてていたことで初めて知り、この仕事をするお守りがわりにそのポストカードを購入し、ずっと大切にしまっていました。
そのポストカードには英語でこう記されています。
‘’Sant Namdev-Patron saint of Chhipa hand block printing community’’ (Sant Namdev ブロックプリントコミュニティのチーパの守護神 Sant Namdev)
Chhipaとはジャイプール周辺のブロックプリントを生業とする職業コミュニティ(または職業カースト)の事を意味します。
実は去年インドに行く前に、大学での講義の為に、kachuaの商品をオーダーしている”Rekha handi craft”のオーナーRambabu jiに、彼らの家族がどのくらいこのバグルー村でプリントに従事しているかとヒアリングしたのですが、その際に返ってきた言葉が
「自分を含めて3世代前からバグルー村でプリントを生業としていて、私達はSant Namdevの子孫であると」
言う言葉でした。
最後に ”We belieave so.”
と付け加えられていました。
ビンズー教の神様の中には実在した人物が、神様として奉られている事も多々あるのですが、chippaの人達の神様もそういう存在である事を知り驚きました。
そして、Rambabu jiがそう教えてくれた言葉の裏に、彼がSant Namdevの子孫であり、それをとても誇りを持って仕事をしている事がとても伝わってきました。
この話を大学の恩師に伝えたところ、彼は自分達の仕事を英語で言うところのcalling”に近いものとして捉えているのでしょうねという言葉が返ってきました。
天が、神が、その職に就くことがふさわしいものとして呼んでいる、そうしなさいと呼び掛けている職業=天職
の事を英語で
”calling”
と呼びます。
カースト制度をどの様に捉えるかというのは、非常に難しく様々な意見があると思いますが、Rambabu jiに限っては、自分の仕事を神様から引き継いだ尊い仕事だと思い、このブロックプリントの仕事をしていると私は思っています。
この冬、我が家の壁にはってあったとあるポストカードが何回はりなおしても、剥がれ落ちるので、ふと思いつき、アノーキで購入した”Sant Namdev”のポストカードをその場所に貼り直しました。
その後、全く落ちる事なくその場所にずっとおられるので、そう言うことか。
と1人納得している次第です。
#kachua#kachuajornal
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